「25度以上の熱帯夜は、エアコンをつけたまま寝ることをお勧めします。湿度が40~50%の場合、脳のパフォーマンスが最も落ちにくい温度は22.5~24度と言われており、26度以上になると、1度上がるごとにパフォーマンスが2%下がる。巷で推奨される“28度設定”は、脳疲労を招くばかりか、仕事時間が延びてしまい、エコにもなりません」

 就寝時のエアコンの設定温度は男性なら25度以下、女性でも26度以下が望ましい。ただし、日本人は筋肉量が少ない人も多い。寒気を感じるなら、交感神経が緊張して逆効果だ。

「大切なのは“頭寒足熱”で、脳は冷やして体は温めること。夏でもタオルケットではなく、冬用の布団を使ってみてください。暑いようなら、エアコンの設定温度を下げればいい」

 ポイントは、わきから下に布団をかけること。首までかけると、脳に行く血流まで温めてしまう。寝汗が出たり、いびきをかいたりするなら、就寝中も脳が自律神経をフル稼働させている証拠だ。そんな時はエアコンの下で呼吸するといいという。

「おすすめは“478呼吸法”です。4秒かけて鼻から息を吸って、7秒息を止めて、8秒かけてゆっくり口から息を吐き出す。涼しい場所で深く呼吸すれば、脳を冷やすことができます」

■脳疲労の蓄積度かんたんチェック

□夜、ベッドに入ると5分以内に寝付くことが多い。
□起床して4時間後に眠気やだるさがある。
□休みの日はいつもより2時間以上長く眠ることが多い。
□電車やバスに乗ると、次の駅や停留所に着くまでに眠っていることがある。
□物事はきりのいいところまでやらないと気が済まない。
□責任感があり、遅くまで残業しても苦にならない。
□集中力が高く、何かに没頭するとまわりが見えなくなる。
□疲れたら栄養ドリンクをよく飲む。
□長時間のドライブでも途中休憩をあまりとらない。
□熱めのお風呂に長湯するのが好きである。

※ひとつでも思いあたることがあれば、脳疲労が蓄積している可能性がある。
梶本修身医師への取材から

(編集部・藤井直樹)

AERA 2021年6月28日号より抜粋