こうした機能を導入することで、アプリを利用する際に「位置情報に常にアクセスしていいですか?」「アプリ利用時だけにしますか?」といった許可を求められることが増える。煩わしいとデメリットに感じる人もいるだろう。

■規制強化は欧州が発端

 ただ、今後、生活のデジタル化やIoT(モノのインターネット)が普及するにつれ、これまで以上に多種多様な個人情報がインターネット上に流出する可能性も高まる。トイレに行った回数が流出して健康状態を勝手に把握されるようなこともありえないことではない。デメリットへの不満には目をつぶり、個人情報を守る意識を高めることは不可欠といえそうだ。

 こうしたスマホOSの「2大巨頭」の対応は、欧州から世界に広がった個人情報保護意識の高まりを受けたものだ。

 発端は2018年に欧州連合(EU)で施行された個人情報保護を強化する「一般データ保護規則(GDPR)」だ。歴史的に人権意識の高い欧州で施行されたGDPRでは、氏名や住所はもちろん、Cookieやネット上の住所といえるIPアドレスも個人情報とみなされ、その利用の説明や同意、域外移転の原則禁止などが定められており、高額の罰則規定もある。

 GDPRの施行後、日本も含めた各国で法規制強化の動きがみられており、アップルやグーグルは世界の潮流に合わせることを余儀なくされたといえる。

 こうした世界的な個人情報保護の潮流と無関係と思われがちなのが、政府に監視カメラなどで個人情報を把握され、一人ひとりのプライバシー意識が低いとされる中国だ。

■先行する中華スマホ

 しかし、実態は異なる。むしろ、アップルやグーグルよりも先行して個人情報を保護する機能を取り入れているスマホメーカーもあるとの印象だ。

 その一つが、中国のスマホ大手「OPPO(オッポ)」だ。日本でもテレビCMを放映し、格安スマホのブランドとして人気を集めている。

 先日オンラインで開かれた発表会では、OPPOの周知伊・ソフトウェアプロダクトマネージャーが、最新OS「ColorOS11」に盛り込む機能を解説した。

「一つの端末の中に二つの独立したシステムを保持することができます。重要なファイルや写真などを仕事用とプライベート用の各システムで保存することができるのです」

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