ドラフト1位左腕・早川隆久(22)も開幕から先発ローテーションに入って奮闘している。12球団トップの7勝をマーク。大学ナンバーワン投手の看板に偽りはなかった。涌井、田中と共に先発の柱として計算していた岸孝之(36)が3勝4敗、防御率4.31とピリッとせずファーム降格を味わっただけに、黄金ルーキーの活躍は大きい。

■新人の頑張りがカギ

 ただ、課題も出てきている。今季12試合に登板し、6回を投げ切った試合は半分の6試合。打順が3巡目になる五、六回に痛打を浴びるケースが増えている。決め球のスライダー、チェンジアップで春先は打者がキリキリ舞いしていたが、対戦を重ねて相手も研究してくる。ファウルでカットされて空振りを奪えず、球数がかさむ。100球前後になる試合中盤でマウンドを降りるケースが多い。夏場に向けて、早川の頑張りが大きなポイントになるだろう。

 則本昂大(30)も後半戦に向けて活躍が欠かせない一人だ。13年に15勝8敗、防御率3.34をマークして新人王を獲得するなど、同年から6年連続で2桁勝利を挙げ、最多奪三振のタイトルを5度獲得した実力の持ち主だ。しかし、19、20年は右ひじの手術の影響や投球フォームの修正に悩み、それぞれ5勝止まりと精彩を欠いていた。今季はワインドアップから力強い直球を投げ込み、5勝3敗で防御率3.28。投げる球のキレは全盛期の時に戻りつつある。

 打撃陣は4番に座る島内がリーグトップの52打点と勝負強さを見せ、3番の浅村もリーグトップの53四球で出塁率は4割を超える。6月以降は7番や9番など下位でスタメン起用されている辰己涼介(24)がリードオフマンの1番で活躍すれば、得点力はさらに上がる。チームのムードメーカーでもある。日本一になった13年以来のリーグ優勝に向け、重要な選手になるだろう。(ライター・牧忠則)※数字は6月17日現在

AERA 2021年6月28日号