JR新橋駅西口の繁華街の様子。緊急事態宣言解除後はこの人出がどのように変化するのか。それがリバウンドの行方を左右する (c)朝日新聞社
JR新橋駅西口の繁華街の様子。緊急事態宣言解除後はこの人出がどのように変化するのか。それがリバウンドの行方を左右する (c)朝日新聞社
AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より
AERA 2021年6月28日号より

 世界的に主流になりつつあるデルタ株(通称インド株)。国内でも今後、アルファ株(通称英国株)から置き換わりが進む可能性が高い。従来株よりも増殖率も感染力も高いため、警戒を強めることが必要だ。AERA 2021年6月28日号から。

【インド、南ア、ブラジル…新型コロナの懸念される変異株の一覧表はこちら】

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 国内の新型コロナウイルスのほとんどは5月中旬までに「アルファ株(通称英国株)」と呼ばれる変異株に置き換わった。これは従来のウイルスより感染が広がりやすい。そして今、懸念されているのはアルファ株よりさらに感染が広がりやすい、インドで最初に見つかったデルタ株(通称インド株)の増加だ。

 アルファ株が昨年9月に世界で最初に確認された英国では、昨年暮れから感染者が急増し、1日の新規感染者が8万人を超えたこともあった。その後、ロックダウンなど厳格な対策がとられ、ワクチン接種も世界に先駆けて進められたことで、今年4月下旬から5月上旬には1日の新規感染者数が千人台にまで下がった。ところが、成人の半数以上がワクチン接種を2回終えているにもかかわらず、5月下旬以降、また感染者が増加傾向に転じている。一因が、デルタ株だと考えられている。

 英国内では現在、アルファ株がほぼデルタ株に置き換わりつつある。英イングランド公衆衛生庁(PHE)によると、5月31日からの1週間に調べたウイルスのうち詳細な検査が終わったウイルスの74%、簡易検査しか終わっていないものも含めると96%がデルタ株だった。

■増殖率も感染力も高い

 米疾病対策センターによると、遺伝子解析した米国の新型コロナウイルスのうちデルタ株の割合は、5月22日までの2週間では2.7%だったが、次の2週間では9.9%に増加した。

 日本では、6月7日までにデルタ株は105件、アルファ株は1万7038件確認されている。7日までの1週間で確認された件数もデルタ株は17件で、アルファ株2986件に対してまだ少数だ。しかし、厚生労働省によると、空港などの検疫で6月7日までの1週間に見つかったデルタ株は10件で、アルファ株の4件より多く、変異株の中で一番多かった。都内の中学校でデルタ株によるクラスターが発生するなど、渡航歴の無いデルタ株への感染者が複数の自治体で見つかっている。

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