否定されないで育てられたからこそ、新しいことをやるときでも「自分には無理かな」と思わずに「絶対できる」と思えるようになったのだと思います。

 今思うとありがたいことでしたね。

■すべては過去の記憶を変えることから始まる

 私たちや子どもたちの行動って、生まれ持った性格に左右されるものと思われがちですが、基本的にはすべて過去の記憶がベースになっているんです。その記憶を基に私たちはだいたい選択と行動をしている。

 記憶の中でも情動記憶、とくに強い感情を伴った記憶を基にして動いています。

 例えば、犬を見て怖いと思う人もいれば、かわいいと思う人もいますよね。怖い、と思う人は小さいころに怖い目にあったことがある可能性が高い。その記憶がよみがえって今でも犬を見ると怖いと思ってしまう。つまり、犬が怖いという過去の記憶に基づいた選択と行動を変えたいのなら、過去の記憶を変えないといけない。

 でも、記憶を変えることなんてできるかしら?と思いますよね。

 選択と行動から生まれるのは未来だと、多くの人は思っています。しかし、私は「未来の自分で生きろ」と言いました。なぜか?

 先ほどの話からわかるように、普通の人は過去の記憶を基にして「今」を生きている。過去の記憶を参考にして今を生きているのなら、今は言い換えれば過去のままです。

 そして、自分たちが思っている未来も「今」を積み重ねた先にあるものなら、未来も過去と何も変わらないとも言えます。

 過去の自分の記憶を参考に、今の選択と行動を決めていては、いつまでたっても未来は変わらないのです。

 今、あなたがしている選択と行動は過去の自分を参考にしているからです。

※星渉さんの新刊『科学的にイライラ怒りを手放す神子育て』(朝日新聞出版)から