しかし、「総理の後段の話は、この場には相応しいものではなかった」と発言するにとどまった。この党首討論に限らず、菅首相は「安心安全の五輪を目指す」とは明言しても、「それをどうやって実現するか」という点はほとんど具体的なことを語っていない。

■総裁続投の意思を表明

 今回の党首討論で最も注目を集めたのは、共産党・志位和夫委員長の「命をさらしてまで五輪を開催する理由はなんですか」という質疑だった。菅首相は「国民の命と安全を守れなくなったらやれないのは当然」と何も答えなかった。よほど、答えにくい質問だったのだろう。

 1月から150日に及ぶ通常国会は、野党が求める国会の会期延長もないまま閉じられる見込みだ。政局は「五輪開催」「ワクチン接種拡大」を経て秋口の「解散総選挙」へと加速する。党首討論で初めて、菅首相が「10月から11月にかけて希望する国民全てに(ワクチン接種を)終えることも実現したい」と9月以降の日程を具体的に口にしたことで、事実上、自身の総裁続投の意思を党内外に示した格好だ。(編集部 中原一歩)

AERA 2021年6月21日号から抜粋