■「傷ついた言葉」のリスト (『産声のない天使たち』より抜粋)

 赤ちゃんを亡くした家族は悲嘆の中にあり、良かれと思って励ました言葉でも傷ついてしまうこともある。

 不用意な言葉は赤ちゃんを亡くした親たちがますます孤独感を募らせていくきっかけになってしまうので、気の利いたことを言おうとせずに、ただ話を聞き、その悲しみに心を寄せるだけでいい。家族や親しい友人であれば、赤ちゃんのことを聞いていいか尋ねてみて、もし話したい様子だったら話題にし、名前があれば赤ちゃんの名前を呼ぶことも、親たちにとって救いになることがある。

 以下のリストは、死産や流産、新生児死を経験した家族に取材しまとめた「傷ついた言葉」。受け止め方には個人差もあるし、死別後は心が不安定なので、そのときの心身の状態で受け止め方が変化することもある。

・「元気そうで良かった」「もう大丈夫そうだね」
相手に心配をかけまいと気遣い、元気を装っていることも多い。こう言われると「やっぱりわかってもらえない」と距離を感じてしまう

・「また授かるよ」
次の子の話は亡くなった赤ちゃんの存在を否定されたような気持ちになる。次の妊娠・出産については不安がある人も多く、気軽に口にしないほうがいい

・「そんなに泣いていると亡くなった赤ちゃんが悲しむよ」
親たちの多くは、なぜ空に帰ってしまったのか、わが子の気持ちが知りたくて苦しんでいる。そんな中で赤ちゃんの気持ちを勝手に代弁するような言葉は、「他人のあなたにわかるわけがない」と心を閉ざしてしまうきっかけに

・「その気持ち、理解できるよ」
同じような経験をしていない人から安易に「理解できる」と言われると、わが子の死という体験が軽んじられたような気持ちになる

・「今回は縁がなかったんだよ」
いつまでも大切にしたいと思っているわが子とのきずなを断ち切られるような酷い言葉

・「上の子がいるからいいじゃない」
亡くなったあの子の代わりはほかにはいない。子どもを失う悲しみは、他の子どもがいることで薄れるものではない

・「早く忘れなさい」
赤ちゃんを亡くした事実をないことにはできないし、我が子の死は生涯忘れることはできない

・「いつまで落ち込んでいるの」 
我が子の死を受け止め、前を向き始められるには、決まった期間はなく、心身の回復にかかる時間も人それぞれ

・「神様は乗り越えられない試練は与えない」 
自分自身で思う分にはいいが、他人に言われるとわが子の死を勝手に意味づけされ、と怒りを抱く場合も