「昨年のロックダウンに入る前から、人々が私たちを見て口や鼻を覆ったり、ジロジロ見たりするのは嫌で仕方ない。両親や妹が外出すると、無事で帰ってくるまで心配で仕方がない」「でも、私たちは米国で生まれた米国人です」

 彼女の言葉は、BLMで黒人が訴えたことと共鳴する。

「BLMもアジア系のデモも、続けることで変化が起こせる。変化が見たい」(ショーンさん)

 BLMは、18歳の女性がフェイスブックで、白人警察官に首を押さえられ死亡した黒人男性ジョージ・フロイド氏(当時46)が息絶えるさまを撮ったビデオをシェアして火がついた。デモの日時・場所などはインスタグラムのみでゲリラ的に告知のポストが出るため、大都市では同時多発的に複数のデモが開かれてきた。

 問題をはらむ事件を記したビデオがあり、それがソーシャルメディアに投稿され、多くの人が共有して、運動へつながる。この流れはまさに現代的なスタイルだ。アジア系ヘイト反対のデモもこれを踏襲している。こうしたスタイルが、既成概念にとらわれない若い人を運動に向かわせていることに、「変化」を感じている。(ジャーナリスト・津山恵子)

AERA 2021年6月14日号より抜粋