そこでひねり出したのが今回の修正提案だ。国民投票法に広告規制を盛り込んだ後に、憲法本体の議論にも応じるという構えを見せる。それにより、「憲法議論もしっかりやりますよ」とアピールしつつ、護憲派の人々や共産党には「当分の間、改憲論議に応じることはない」という弁明もできる。

 実際、憲法審査会の採決直後は「立民の裏切りを許さない!」「立民のせいで国民投票法の改正阻止が困難に」といったツイートがあふれたが、共産党の志位和夫委員長は「改憲を許さないという点では今後も協力していけると思うし、総選挙に向けた政策協議のなかでも協力を確認していきたい」と発言して友好関係の維持を図った。(ジャーナリスト・今井一)

AERA 2021年6月14日号より抜粋