日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(C)朝日新聞社
日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(C)朝日新聞社
日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(C)朝日新聞社
日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(C)朝日新聞社

 レバノンで逃亡生活を続ける日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告(67)の事情聴取が5月31日、フランスの司法当局によって始まった。

 今回、フランス側が事情を聴くのは、ゴーン被告がフランス自動車大手・ルノーの会長時代に会社資金を不正に流用したとの疑いに関するもの。

 ゴーン被告は2014年3月、ベルサイユ宮殿で約200人を招いて大規模な晩餐(ばんさん)会を開催。名目は「日産・ルノー連合」の発足記念パーティーだったが、肝心の日産やルノーの関係者はほぼ出席しなかった。このため、もともとゴーン被告の60歳の誕生日会だったのではないかとの疑念が持たれている。

 また、16年10月に同宮殿でキャロル夫人との結婚式を行った際には、会場費の5万ユーロ(約670万円)をルノーの資金から私的に流用したことが分かっている。

■新型コロナで延び延び

 こうした私的流用以外にフランス司法当局が関心を寄せているのが、フランス元大統領のサルコジ被告=汚職などの罪で今年3月に禁錮3年(うち2年は執行猶予)の判決=らにゴーン被告が不正に資金提供をしたとの疑いだ。

 ゴーン被告に近い関係者はこう話す。

「ゴーン氏は、サルコジ被告が大統領だった当時、会社に何かが起きたときに守ってもらうために巨額の不正資金を渡したとされています。提供した資金は、日産、ルノー、三菱などの口座から通常の方法とは異なる形で振り込まれました。同様にルノー・日産アライアンスのためにフランスの元法務大臣の弁護士と契約し、2年間で90万ユーロ(約1億2千万円)を支払っていたことも明らかになっています。

 事情聴取は新型コロナウイルスの影響で延び延びになっていましたが、ようやく5月末にフランスから5人の予審判事がレバノンを訪れ、ベイルートの裁判所で5日間にわたって行われる予定です」

 日産からオマーンの販売代理店へ支払われた多額の資金がゴーン被告の親族へ使われたとされる「オマーンルート疑惑」や、ゴーン被告がベイルート、ドバイ、英国領バージン諸島に設立した架空の会社についても聴取する模様だ。

次のページ
逮捕されない可能性が高い