激しい殺陣のある体力のいる舞台だが、公演中の体調確認はランニングで行う。「終演後に走って、行けるな、いい調子でこれているな、という目安にしています」[撮影/蜷川実花、strategist of photography/鈴木心、hair & make up/AKI、styling/中村美保 、costume nude:mm(Karaln)、giraffe、cuillere en 925(すべて表紙も)]
激しい殺陣のある体力のいる舞台だが、公演中の体調確認はランニングで行う。「終演後に走って、行けるな、いい調子でこれているな、という目安にしています」[撮影/蜷川実花、strategist of photography/鈴木心、hair & make up/AKI、styling/中村美保 、costume nude:mm(Karaln)、giraffe、cuillere en 925(すべて表紙も)]

 刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞−ONLINE−」を原案にした舞台の最新作で、3年ぶりに三日月宗近として”出陣”した。「難しいから楽しい」と舞台への愛を語った。AERA 2021年5月31日号から。

【写真】蜷川実花が撮った!鈴木拡樹さんが表紙を飾ったAERAはこちら

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――舞台『刀剣乱舞』シリーズは、名立たる刀剣が戦士の姿となった「刀剣男士」が、歴史改変をもくろむ「歴史修正主義者」から歴史を守るために戦う物語だ。三日月宗近として、3年ぶりに出演している。

鈴木拡樹(以下、鈴木):初演からのメンバーも多くて、「久しぶりに帰ってきた」という感覚は、本当に一瞬でした。でも、初日の幕が開くとき、お客さまからの思いというか、待っていてくださったんだなあと感じるものがあって、そこでまた3年ぶりであることを実感しました。僕、いつもカーテンコールを大切に聴いているんですけど、今回は終演後のアナウンスが流れてもずっと拍手を続けてくださっていて、そこにも感動しました。皆さんの気持ちを受け取って、支えられて、毎ステージに臨んでいます。

――「舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士(むでん ゆうくれのさむらい)−大坂夏の陣−」は、戦国時代最後の大戦に“出陣”。三日月宗近が刀剣だったときの持ち主、高台院(豊臣秀吉の正室、ねね)も登場する。史実と創作がまざり合う面白さ、刀剣男士が宿命的に抱える物語性、一つ一つ独立した話でありながらシリーズを通して構築される深い世界観が多くのファンを魅了している。

■感情を共有する感覚

鈴木:三日月宗近ならではの微妙なニュアンスを伝えることは、楽しくもあり大変でもあります。三日月宗近はミステリアスで、感情を表に出したり、思いを吐露したりすることが少ない。でも、今回は高台院様とのシーンで、素がポロリと出てしまう瞬間があるんです。ただ、出てしまうにしても、どの瞬間にどのくらいなら出していいものか。一方で、今回は時系列では3年前に出演した「悲伝 結いの目の不如帰(ほととぎす)」よりも前のお話になります。それを加味した上で、他のシーンでは「出しすぎない」逆算も必要でした。まだ明かされていないこともありますし、後に全体を通して見ていただいた方に「この時の表情はそういう意味なんだ」と知っていただく楽しみもありますので、繊細に作っていきました。

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