元住吉駅前の幹線道路からは武蔵小杉駅周辺の高層マンション群が見える。1駅しか違わず、東京への時間も大差ない(撮影/編集部・米谷陽一)
元住吉駅前の幹線道路からは武蔵小杉駅周辺の高層マンション群が見える。1駅しか違わず、東京への時間も大差ない(撮影/編集部・米谷陽一)
AERA5月31日号から
AERA5月31日号から

 都心から離れたくないけど、広い家に住みたい。テレワークの普及で通勤時間を基準にした家選びをしなくてもよいならば、穴場の街は簡単にみつかる。それが、快速・急行停車駅の「隣」だ。AERA 2021年5月31日号は「近郊移住」を特集した。

【1駅となりならこんなにオトク? マップはこちら!】

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 コロナ禍が私たちの生活に与えたマイナス面は、数え上げればキリがない。だが、プラス面もある。一つはテレワークが増えて、通勤時間にあまりこだわらずに、住まい選びができるようになったことだろう。

 近郊都市に「プチ移住」する動きが広がっている。だが、そこまで思い切った決断をしなくても、少し目先を変えれば、意外な発見がある。それが、快速や急行停車駅の隣だ。

 後段で詳しく説明するが、1駅違うだけで家賃や物件価格に大きな差が出てくる。

 もちろん快速や急行が止まる駅は街の規模が大きく、都心への所要時間も短い。さらに複数の路線が乗り入れるターミナルになっていることも多く、どこに行くにも便利だ。駅前には大型商業施設や公共施設もそろっている。だからこそ、多くの人が住むことを希望し、高いマンションを無理して購入したり、高い家賃を払ったりする。

 だが、毎日通勤する必要がなければ、そうした駅にこだわる理由はない。各駅停車しか止まらなくても、快速や急行ほどは「密」にならないので、精神的にも安心だ。なにより、隣駅なら住宅の価格が安い。より広い家を買ったり、借りたりできるというプラス面もある。

 在宅勤務が増えて、住み替えを考える人が増えている要因のひとつが、より広い家に住み替えたいというニーズだ。

■1部屋増で万事解決

 例えば自宅でワークスペースを確保しようにも、分譲や賃貸住宅のほとんどは、家で働くことを前提につくられていない。リビングで仕事ができればいいほうで、なかにはウォークインクローゼットやベランダ、マイカーが「職場」の人もいる。それも難しければ、駅前のカフェやシェアオフィスに場所を求める人も少なくない。

 そんな状況も、1部屋増えれば、たちまち解決する。ワークスペースさえ確保できれば、家族に気兼ねせずに仕事に集中できるし、ほどよい距離感が良好なコミュニケーションにつながる。家族の絆が強まるといった好循環すら期待できるのだ。

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