■スマホ専用証券も猛追

 今の25歳以下は投資に対してネガティブな印象が薄い。08年のリーマン・ショックを知らず、コロナショックも即反転したので暴落経験がほとんどない。

「いろんな面で抵抗感がない若者が、どこで投資しようかと思ったときに、青(SBI証券)や緑(松井証券)はタダと言っている、赤(楽天証券)は200万ポイント山分けだ、黄色(マネックス証券)は米国株で3万円キャッシュバックだ。好きなものに乗ればいいです」

 ネット証券の手数料戦争の脇で、スマホメインの証券会社が追いかける。「ワンタップバイ」から今年2月に社名変更したPayPay証券は、この3カ月で新規口座開設数が3倍に増えた。通常の株式投資とは違い、300以上の日米企業を1千円から売買できる仕組み。手数料無料に見えるが、実は通常の株価に約0.5%のスプレッドが乗っている。一部ネット証券では1株から株を買える端株サービス(手数料0.5%程度)があるが、それにイメージは近い。

「少し割高ですが、初心者の投資のきっかけとして否定はしません。値動きの感覚を覚えたらネット証券で本格デビューを」

 田嶋さんは、初心者なら、コロナ禍を抜けたら大きく戻りそうな優良株か、好調な半導体関連の小型株を薦めた。

「前者ならアサヒやキリンといったビール会社、航空のJALやANA。後者ならシグマ光機、ニレコ、フェローテック……面白い企業はたくさんありますよ」

(ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)

AERA 2021年5月31日号

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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