登校時の検温など、小学校でもさまざまな感染対策を行っている。だが、第4波を受け、大阪や北海道では臨時休校や学級閉鎖も相次いでいる (c)朝日新聞社
登校時の検温など、小学校でもさまざまな感染対策を行っている。だが、第4波を受け、大阪や北海道では臨時休校や学級閉鎖も相次いでいる (c)朝日新聞社
AERA 2021年5月31日号より
AERA 2021年5月31日号より

 新型コロナウイルスの変異株が日本でもまん延している。感染力の高さなどが報告されているが、子どもへの影響はどうなのか。AERA 2021年5月31日号では、変異株の子どもへのリスクを取り上げた。

【グラフ】年代別新規重傷者の内訳はこちら

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 感染力が従来よりも増したとされる変異株が日本国内でもまん延している。変異株の影響で、子どもが感染しやすくなっている、あるいは重症化しやすくなっている心配はないのだろうか。

 いま広がっている変異株のうち、多く見つかっている変異株のひとつが、英国で最初に見つかった英国株だ。英国内で昨年末から感染者が急増した一因とされている。

 英国の大ロンドン庁やイングランド公衆衛生庁による、年代別の人口10万人あたりの感染者数の推移では、どの年代でも昨年末から今年1月にかけて大きく感染者が増加していた。とくに増加が大きいのは25~59歳の年代で、逆に一番、増加が少なかったのが14歳までの子どもの世代だった。

 英国政府の専門家会合の小児分科会は今年2月、こういったデータを分析し、英国株は子どもも含め、特定の年代に対してとくに感染性が増しているわけではなく、全年代で感染性が増しているという結論をまとめた。

 また、英国の教育省は同月に出した報告書で、「英国株は入院率や死亡率を上げると示唆するデータが出てきているが、子どもや若者の死亡リスクは従来のウイルスへの感染と同様、非常に低い」としている。

 英キングスカレッジ病院の医師らは、英国株がまだ存在しなかった昨年3月に同院に入院した18歳以下の子ども20人と、英国株がまん延しだした11月~今年1月19日に入院した60人を比較した結果を今年4月、英医学誌に報告した。

 比較の結果、重症患者は英国株登場前が25%だったのに対し、英国株登場後は8%、中等症は25%と13%と、「変異株が登場したからといって、重症化する子どもが増えているわけではない。また、症状の進展の仕方も従来のウイルスと違いはない」としている。

■インド株で予防的措置

 インド株は、インドでは子どもに感染しやすい、子どもが重症化しやすいという報道があるものの、まだ科学的に結論がでるほど調査や分析が行われておらず、実態は不明だ。

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