■接触が減り安心する

 現在くら寿司は全国に480店舗を展開。今後新たに出店する店は「完全非接触」を標準装備し、既存店では順次改装を進め、年内には全店導入を予定しているという。

「お客様は店員と接する機会が極力減ることで安心されます。店員も、お客様と接する機会が減るので安心して働けます。どちらの感染症対策にもなっているので、一石二鳥にも三鳥にもなります」(辻さん)

 回転ずしだけではない。スーパー、ホテル、エステ、ガソリンスタンド、書店、銀行、神社のおみくじ……。

 コロナ禍のいま、家でも、街でも、商店でも、様々な場面で少しでも人やモノと接することを避ける非接触が「ニューノーマル」としてじわりと広がっている。写真加工の「アスカネット」(広島市)が昨年5月に行った「『コロナショック前後のモノとの接触』に関する意識調査」では、79.8%の人が、コロナショック以降、モノとの接触が気になると回答した。

 続いて向かったのは東京・丸の内。3月末にオープンしたばかりの「ファミマ!! サピアタワー/S店」(東京都千代田区)。「無人決済の店」というが、一体どんなコンビニなのか。

 店舗に入ると、ゲートがあり、その前に立つとゲートが開いて売り場に。「いらっしゃいませ」という店員の声が聞こえないのは寂しいが、すごいのがここから。

 店内の天井に所狭しと配置された48個のセンサー付きカメラがお客の追跡を開始。商品を手に取ると、カメラと商品棚のセンサーがその商品が何かを判別するのだ。

■利便性とコスト低減

 会計は出口付近にあるレジへ。すると、タッチパネルに購入商品と金額が表示される。間違いがなければ「お支払い」をタッチ。間違っていれば、自分でバーコードを読み取り修正可能。後は現金やキャッシュレスで支払いを済ませればOK。バックヤードにはスタッフが常駐し、アルコール類の販売はスタッフが画像で年齢確認するなどの仕組みになっている。まさに近未来の買い物。

「すごい!」

 レジに並んでいた会社員女性は感動していた。同社広報部は、

「スピーディーに買い物ができる利便性と省人化によるコスト低減。そして、コロナ禍での非接触のニーズに応えたものです」

 と無人決済店舗の狙いを語る。夏ごろには、西武鉄道と共同運営しているコンビニ「トモニー中井駅店」(東京都新宿区)への無人決済システム導入を予定しているという。

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