彼女が参加したプロジェクトの最終日は2020年3月1日。偶然にも、コロナ禍で子どもたちの学校が休校になる直前という奇跡的なタイミングで、家中がすっきり整ったのです。

 今回お話ししたいのは、彼女が家の片づけに成功するまでの過程ではなく、「その後」です。

 ほんの2カ月前は、片づけない子どもたちに怒ってばかりでしたが、家の仕組みが整ったことで、自分が指摘しなくても家族が自ら動いてくれるようになって、怒らない穏やかなママに変身。巣ごもりの毎日を家族円満で過ごせたそうです。

 仕事面でも進展がありました。ちょうど新年度に変わるタイミングでパートタイムからフルタイムの契約社員となり、キャリアアップにも成功したのです。前の状態なら負担を感じて快く受けられなかったかもしれない。受けたとしても、コロナ禍のバタバタと仕事と家事でバテてしまっていたんじゃないか、と彼女は言います。

 習慣化を味方につけた彼女は、高校受験を目指す息子さんと一緒に、「いつかは」と思っていたファイナンシャルプランナーの資格取得の勉強をスタートさせました。親子でそれぞれの目標に向かって学んだことで、息子さんも無事、第一希望の高校に合格。理由は簡単!散らかった家ではザワついていた心が落ち着き、勉強に集中できるようになったからです。人生の後回しグセをやめることにも成功した彼女は今、資格を生かしてフリーとして活躍する未来に向かっています。

 なぜ彼女は、後回しグセをやめられたのでしょうか?

 一つは自分自身が後悔をバネに気持ちを入れ替えたこと。もう一つはプロジェクトの仕組みにあります。プロジェクトが始まると、後回しにする余裕なんてないほど課題漬けの日々が続きます。課題には期限があるから逃げ場がない。進捗は私やスタッフが細かく管理し、受講生のみんなも見ている。やるかやらないか選べない環境があったことは、大きかったと思います。

 私は、片づけに失敗する原因の大部分は「三日坊主を乗り越えられないこと」だと思っています。毎日手を動かす習慣さえ身につけば「片づけられない」は半分乗り越えたも同然。あとは整理や収納の考え方を吸収して実践していけばいいのです。

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「三日坊主やめよう」をやめよう!