「公務員を目指す学生もいれば、教育関係や不動産関係に内定を得ている学生も。どんな卒業研究をやって羽ばたいていくのか、私たち教員も楽しみです」(同)

 決まったレールのない魅力は早稲田大文化構想学部も同様だ。志願者数は前年比97%で、大学全体の88%を上回る。第一文学部と第二文学部が再編され、07年に文学部とともに生まれた歴史の浅い学部だ。柳澤明学部長は言う。

「文化構想とは何なのかは、卒業生やいまいる学生自身が、『文化構想学部という文化を構想して作っている』その過程にあるのだと思います」

 授業は多岐にわたる。たとえば「地中海文化論」「人工知能とポストモダン思想」「バレエ/ダンス論」などだ。就職先にメディア系が比較的多いのも、幅広く社会を知りたいという学生が多いからかもしれない。入試・広報副担当の小村優太准教授はこう話す。

「文学部に比べて文化構想学部は、同じ哲学をやるにしても科学や社会学、美術など多方面からも軽やかに飛び回り、『とにかく全部見てみよう』と。そこが魅力と言えます。また、学部は『1・3制』という1年生で専門に分かれないシステム。コロナ後が不透明な中、幅広く学べて、かつ入学してすぐ自分の学ぶ分野を限定せずに『様子を見て』決められる。そこも魅力なのかもしれません」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年5月17日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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