オンラインによる米国主催の気候変動サミットで演説するバイデン大統領/4月22日、米ワシントン・ホワイトハウス(Pool/gettyimages)
オンラインによる米国主催の気候変動サミットで演説するバイデン大統領/4月22日、米ワシントン・ホワイトハウス(Pool/gettyimages)
AERA 2021年5月17日号より
AERA 2021年5月17日号より

 バイデン大統領の就任から100日が経った。新型コロナ対策で国民に現金を支給し、ワクチンは無料で接種を進めるなど「大きな政府」がカムバックした。AERA 2021年5月17日号で、新大統領の100日を振り返った。

【図】バイデン政権 100日の主な政策はこちら

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「就任100日でワクチン接種1億回を目標にしていたが、92日で2億回を達成する。米国民を誇りに思う」(4月21日)
「独立記念日までに、成人の70%にワクチン接種を少なくとも1回行う」(5月4日)

 とバイデン氏。とにかく、目標を設定し、突き進む。目まぐるしい3カ月超だ。5月4日には、米製薬大手ファイザーのワクチンについて、米食品医薬品局(FDA)が12歳以上に使用許可を拡大した場合、全米2万カ所の薬局で同年齢に接種する準備があると発表した。

■1回接種は成人の45%

 新型コロナから逃れて100%の経済回復と元の生活を取り戻すには、ワクチン人口を増やし、集団免疫を達成する他に道はない。米紙ニューヨーク・タイムズによると5月5日時点で、2回の接種が終わった成人が全米で32%、1回接種が45%。4月中旬から日々の接種回数が減少し始め、45%から70%に引き上げるには、あともうひと押しが必要だ。

 バイデン政権はまた、就任100日間で導入した景気刺激策の規模でも、過去の政権に比べて突出している。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、コロナ追加経済対策として成人1人に対し1400ドル(約15万円)の現金給付を含む「米国救済計画」法案を議会で成立させた。新たなインフラ投資計画である「米国雇用計画」は約2兆ドル(約220兆円)などの歳出を求め、総額は6兆ドル(660兆円)に上る。過去最大だったのは、クリントン政権の2.6兆ドル(約286兆円)で、その2倍超となる(金額は、2021年のドルを基準に調整)。

 同様に、就任後100日間で、政府や軍に対する行政命令である大統領令発動も過去最多となった。1月20日の大統領就任宣誓式直後に15件に署名し、4月23日には40件に達した。トランプ前大統領の行政措置をトランプ政権前に戻すため、大統領令がかさ上げされた。

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