話の中で気づいた共通点は、「よく探し物をする」「期間限定グッズやセール品に弱い」「家族の物が家のあちこちにある」という物に関することから、「子どもを怒ってばかりいる」「気軽に『どうぞ』と人を家に招き入れることができない」「夫婦関係が悪化している」という人間関係の悩みまで。「そんな自分が嫌で、自尊心もボロボロ……」という嘆きもよく聞かれます。

 そもそも片づけができないことは、家族や友人に打ち明けにくいので、複雑な気持ちを溜めに溜めて来られます。表に出にくい悩みですが、スマホの検索窓に「片づけ」と入力して提案されるキーワードを見てください。「片づけ コツ」 「片づけ やる気」「片づけ 順番」「片づけ どこから」と、悩みの影が出てくる、出てくる。

 Googleに答えを聞いている人が多いのでしょう。便利な世の中ですが、いつもネットで片づけ情報を探しているのも受講生の“あるある”エピソードなのです。努力なしに部屋が散らかってしまったわけではなく、むしろそうやって調べて収納の資格を取ったりセミナーに通われたりして、自分なりの努力をしてきた方が多いように思います。

 答えが知りたくて外へ答えを求め続けた結果、170冊のお片づけ本がプロジェクト中に部屋から出てきたというツワモノもいらっしゃいました。

 片づけられない人の勘違い。

 それは、たった一つの正解がどこかにある。特効薬のような解決策がどこかにあると信じていること。それに対する私の考えは、あなたの家の片づけについて正解はどこにも書いていないけれど、最善解を見つけて片づけられるようになる方法はある、ということです。

 ネットや書籍の情報をアレンジして上手く取り入れられる方もいらっしゃるでしょう。でも片づけが苦手な方は、誰かの成功事例や正解を見てそのまま再現したり、はたまた理想を高く持ちすぎたりして失敗しがち。まずは自分や家族の望む生活スタイルを知って、自分達にとっての最善解を導き出す力が必要なのです。

 個人宅の片づけをやめた理由も、正解を聞かれることが重なったからでした。

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汚部屋のリバウンド…