ファッションライバー・ライブコマーサー ももちさん(25)/ファッションを中心に情報発信。「?ももち?というインフルエンサー自体をファンのみんなと作り上げています」(撮影/写真部・高野楓菜)
ファッションライバー・ライブコマーサー ももちさん(25)/ファッションを中心に情報発信。「?ももち?というインフルエンサー自体をファンのみんなと作り上げています」(撮影/写真部・高野楓菜)
マネジャーの持つカメラに向かって新作パジャマを紹介。かわいいと思うものは、伝えたい言葉が自然に出てくる(撮影/写真部・高野楓菜)
マネジャーの持つカメラに向かって新作パジャマを紹介。かわいいと思うものは、伝えたい言葉が自然に出てくる(撮影/写真部・高野楓菜)

 インフルエンサーが共感と支持を集める理由はどこにあるのか。多くの若者たちの心をつかむ理由を探った。AERA 2021年5月3日-5月10日合併号は、ファッションライバー・ももちさんを紹介。

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 東京の街を見下ろすビルの33階、ジーユーのショールームで、ももちさん(25)がYouTubeの撮影をしていた。新作ワンピースを試着し、カメラに向かって語りかける。

「もうこれ、本当にめちゃめちゃかわいいです!」

 原稿はなく、着てみて感じたこと、かわいいと思うポイント、コーディネートのアドバイスなどを即興でどんどん話す。表情がくるくる変わり、服の裾を揺らしてみせるなど飽きさせない。

 ももちさんはYouTubeのチャンネル登録数37万、インスタグラムのフォロワー17万のインフルエンサーだ。アパレル販売員だった経験を生かしてファッション分野で活動する。ライブ配信で商品を紹介しながら販売するライブコマースが得意で、「ファッションライバー」という肩書を自分で考えた。

 アパレルメーカーとコラボ制作した服は発売1週間で7千着、プロデュースした青汁は10分で4500個が売れた。

■2年前から毎日配信

 ファンは19歳から25歳の女性が中心。YouTubeに週2回投稿し、インスタグラムでは毎晩22時からライブ配信、企業と組んでライブコマースなども行っている。この日は夏に向けて発売される商品の展示会があり、ジーユーの依頼ではなく自主的に動画制作をしていた。

「ファンの子が好きそうなもので、私もかわいいと思うものだけを選んで紹介しています」

 毎晩のライブ配信でファンと交流し、ニーズはよくわかっている。2年間で築いてきたファンとの信頼関係が最大の強みだ。

 ジーユーPRチームの兼田里佳子さんはこう話す。

「限りなくお客様に近く、ももちさんが言うから聞いてくださる方がたくさんいる。お客様との間をつないでくれる存在です」

 ももちさんはSNSを使い分けてファンを増やしている。YouTubeは人気ブランドの新作を紹介するなど、新規の人が入りやすい内容にしてインスタに誘導する。インスタでは今の自分を知ってもらい、ライブ配信でファンとコミュニケーションをとる。さらに年に1、2回だけ更新するブログで、コアなファンにメッセージを届ける。

 毎晩のライブ配信では服やダイエットグッズを紹介したり、悩み相談会をしたり。

「毎日配信しているからこそ、お仕事でお洋服を紹介してもPR感が出ず、楽しんで見てもらえます」(ももちさん)

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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