「例えば、自粛うつにならないためには1日に何分は日光を浴びたほうがいい、何分は散歩しましょうと明確に伝えるべきです。仮に現在のような形で外出自粛が続けば、5年後には要介護高齢者が200万人ほど増えるのではないかと見ています」

 同時に、人々の心の中に鬱屈(うっくつ)感がたまっていると指摘する。

「今の自粛要請は、いわば国から抑え込まれているような状態。だから反発心が生じてしまうんです。ルールを守ってもらうために最も大切なのは、規制や罰則ではなく、守れるルールを作ること。例えば、会食がいけないのであって、一人で食べるぶんには大丈夫ですよとか、健康のための外出は許可します、というようにガイドラインを親切なものにすればいい。本当に国民のことを思っているんだというメッセージが伝われば、守る人が増えるはずです」

 第4波で広まっている変異株は、従来のウイルスよりも感染力が強く、若年層でも重症化する可能性がある。これまでの「若いから大丈夫」という方程式はもはや成り立たなくなった。この波を乗り越えるには、いま一度私たち一人ひとりが「外出する理由」を見つめ直す必要がある。(編集部・藤井直樹/ライター・羽根田真智)

AERA 2021年5月3日号-5月10日合併号より抜粋