――僕は日本をもっとよりよくするために、政治家になってみたい気持ちがあります。

河野 僕のところにはときどき、「政治家になりたいので、事務所で働かせてください」と、大学生や大学を卒業したばかりの人が来ます。僕がその人たちに言うのは、「政治家になるというのは手段です。ゴールじゃありませんよ」ということです。たとえば、自分の生まれた町をよくしたい、困っている人を救いたいとか、あるいは自然を守りたいなど、何かゴールがあって、それを実現するための手段の一つが政治家です。ほかにも自分で会社を興して、お金をたくさん稼いで、そのお金でゴールを達成するというやり方もあるだろうし、NGOを立ち上げて仲間と一緒に活動するという方法もあると思います。政治家になることをゴールにすると、そのためには何をやってもいいんだとなってしまうし、全員が必ず政治家になれるわけではないので。でも政治に興味があるのはすごくいいことだから、いろんなことを勉強してほしいな。がんばってね。

――河野さんは、なぜ政治家を手段に選んだんですか?

河野 政治家を意識した当初、僕はアメリカは日本を全然相手にしていないように感じていて、日本とアメリカの力関係を何とか直したいと思いました。そうすると、外交官になるか政治家になるか、あるいは大きな会社を作って、日米の間でビジネスをするなどの選択肢がありました。でもやっぱり政治家になって、日米間の交渉ごとをしたり、国際会議の場で日本とアメリカが肩を並べたりすることを実現したいと思いました。安倍前総理のもとで外務大臣をやらせていただいたのは、そういう意味で非常にありがたかったなと思います。

――河野さんは会社員も経験していますが、会社で働いてよかったことはありますか?

河野 僕が最初に勤めた富士ゼロックスではコピーの機械やプリンター、ファクスなどを、その後、勤めた自動車の部品を作る会社では、1個数円の本当に小さい部品を、何億個も作って売っていました。そこではお金を稼ぐことがいかに大変か、モノを買っていただくことがいかにありがたいかということが本当に身にしみました。また高校生のときには、地元の大磯ロングビーチでライフガードのアルバイトをしてお金をためて、自動車の免許を取りました。自分で働いてお金を稼ぐ大切さを学ぶというのはとても大事だと思います。みなさんもアルバイトができる年になったら、しっかり働いてお金を稼ぐというのをぜひやってみてください。

河野太郎さん
1963年、神奈川県生まれ。自由民主党所属の政治家。96年に衆議院総選挙に初当選。その後、総務大臣政務官や法務副大臣、外務大臣、防衛大臣などを歴任。現在は規制改革担当大臣として活躍中。

(構成 ジュニアエラ編集部・吉田美穂)

※月刊ジュニアエラ 2021年5月号より

ジュニアエラ 2021年 05 月号 [雑誌]

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吉田美穂
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