「子どもトイレ」は、きっと男親も女親も気軽に利用でき、かつ子どもの姿がきちんと確認できるように(トイレに閉じ込められたり、中で不審なことが起こったりしないように)、開放感いっぱいに設計してあるのでしょう。でもそんなオープンスペースだからこそ、不審者が親みたいな顔をして入ってきてもわからないし防げないよなあ、と不安になってしまいました。

 アメリカでは……といっても、アメリカの全州をくまなく回ったわけではありませんが、公共スペースにさらされたおむつ交換台というのは見たことがありませんでした。どれも、男性か女性用トイレの内部、あるいは個室の中に設置してありました。日本よりもスペースが広く取れるからかもしれませんが、それ以上に、たとえゼロ歳の赤ちゃんにも人権がある、プライベートな場面は他人に見せてはならないという意識が根底にあるからだというのは考えすぎでしょうか。

 そんな話をアメリカ人の夫にしたら、「おむつ交換台だけじゃないよ」と言われました。「日本の男子トイレ、主に小便器のほうだけど、用を足している姿が外から見えることがままあり、アメリカ人としては非常に気になる。もしかしたら日本人はトイレをそこまでプライベートな空間と思っていないんじゃないか?」とのこと。だとしたら、子どもの人権うんぬんという前に公衆トイレに対する価値観が違うのかもしれません……。いずれにしろ、外から見えてしまうようなおむつ交換台って奥に移すなり衝立を設けるなりしてどうにかできないかと思うんですが、皆さんどう思われますか。

※AERAオンライン限定記事

◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカで6年暮らし、最近、日本に帰国。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

【AERA with Baby】解決! 子育ての基本の悩み (AERAムック)

朝日新聞出版

【AERA with Baby】解決! 子育ての基本の悩み (AERAムック)
著者 開く閉じる
大井美紗子
大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

1 2