LiSA:最後のトライのような気持ちで、覚悟を決めて東京に出ようと思っていた頃でした。なんの脈絡もなく母が、「一日の中で、一つでもいいからいいことを探して、寝る前に『今日もいい日だ』って言って、一日に花丸をつけて眠りなさい」と言いだして。もともと私は自分を認めてあげることがすごく苦手で、自分に花丸をつけられない性格だったんですね。毎日、暗い顔をしていたんだと思う。実は上京することは内緒だったから、母は怖いなと(笑)。東京に行く前日に言ったら激オコでしたけど、3カ月後くらいに平気な声で「何やっとんの?」と連絡が来て、「連絡しようかしまいか迷った私の気持ちは!」って(笑)。でも、東京に出てきて一人になったからこそ、母の言葉がすごく響くようになった。迷うからこそ一日一日大切に生きなきゃいけないんだな、と。

──上京し、数々のオーディションを受けてつかんだのがテレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンドの歌手の座だった。シングル、アルバム累計40万枚を売り上げ、2011年の春にソロデビューを果たす。

LiSA:アニメファンの方たちは、まだ何者でもない私自身を、自分が好きな作品に関わったというだけで無条件に愛してくれた。そのことがすごくうれしくて、この人たちに何かを返さなくちゃいけないという気持ちになりました。そこからたくさんアニメの主題歌を歌わせていただいて、作詞を手掛けることも多くなりました。大切にしたのは、まず作品を愛すること。うそをつかないこと。作品のファンの方から見れば「120%作品の世界観だ!」と思ってもらえるように。そして、LiSAの楽曲として出す以上、自分の中にある本当の気持ちを乗せた歌詞を書き、ライブでLiSAを見に来てくれた人たちにも、ちゃんと私の曲として感情移入できるような曲にすること。両方の要素がある楽曲にすることは大切に守っています。

■プライドは取り払った

──アニメソングを歌うことによって、ロックシンガーとして表現の幅も広がった。

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