関口さんも、1週間を「不食」「良食」「美食」の三つに分る「月曜断食」では、「良食」「美食」期間中のアルコールはOKの立場。ただし、日本酒やビールではなくワインや蒸留酒(焼酎、ウイスキー)にし、1日の量を「この一杯」と決める。

 ファスティングを始めると、ふらつきや倦怠(けんたい)感、頭痛などが生じる場合がある。関口さんによれば、普段から血糖値を乱高下させるような食習慣だった人に起こりやすい。ファスティングで食べ物が入ってこないため血糖値が上がらず、これまでの乱高下の幅の大きさのギャップから不調が生じる。

「状況が許せば少し横になって体を休める。仕事中でできないようなら、スポーツドリンクなどを少量口にするといいでしょう」(関口さん)

 ファスティング中の運動は、特に本人が支障を感じなければいつも通りやってよい。1日1食の石原さんは週2回のウェートトレーニングと週4~5回のジョギングを欠かさない。

 ファスティングで固形物を取らないと便秘になる?

「腸内環境が良くなるので、大抵の人がファスティング中も便通があり、便の状態も良くなります。気になる人は、こまめに水分補給を心掛け、リラックスした状態でファスティングを行ってください」(坂田さん)

■押さえるべき注意点

 これまでファスティングのメリットについて述べてきた。各専門家が挙げる方法は豊富な経験に裏づけされた安全性の高いものではあるが、押さえておくべき注意点もある。石原さん、関口さん、坂田さんのいずれもが口をそろえて言うのは、妊娠中の人、何らかの病気を抱えている人、何らかの薬を飲んでいる人、医師から特定の栄養素の制限を受けている人、痩せ過ぎている人、18歳以下の人は、ファスティングを自己判断で行うべきではないということ。プロテインを活用するなら乳・大豆アレルギーの有無の確認も必要だ。

 国際医療福祉大学三田病院内科部長・地域連携部長の坂本昌也さんは「ファスティングには基本的には反対の立場。少なくとも高齢者には勧められません。ただ、それをいったん横においても、これは頭に入れておいてほしい」と、こう続ける。

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