※S&P500と全世界株式のそれぞれに連動する投資成果を目指す投資信託に毎月1万円ずつ、つみたてた場合の手取り額を過去31年分のデータに基づき算出。インデックスはS&P500とMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(いずれもブルームバーグ<1990年1月~ 2020年12月>のデータ)を使用。標準偏差と中央値も掲載したが、基本的には「平均」の数値を参考に。データ提供:ニッセイ基礎研究所
※S&P500と全世界株式のそれぞれに連動する投資成果を目指す投資信託に毎月1万円ずつ、つみたてた場合の手取り額を過去31年分のデータに基づき算出。インデックスはS&P500とMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(いずれもブルームバーグ<1990年1月~ 2020年12月>のデータ)を使用。標準偏差と中央値も掲載したが、基本的には「平均」の数値を参考に。データ提供:ニッセイ基礎研究所
橘 ハル(たちばな・はる)/億り人会社員。米国の高配当株やナスダックETFへの投資により30代の会社員ながら億り人。ツイッター @haru_tachibana8
橘 ハル(たちばな・はる)/億り人会社員。米国の高配当株やナスダックETFへの投資により30代の会社員ながら億り人。ツイッター @haru_tachibana8

 つみたてNISAで人気の投資信託、ナンバーワンは「S&P500」。その脇でジワジワと純資産総額を伸ばしているのが「全世界株式」だ。「AERA Money 2021春号」では、専門家と資産1億円達成の個人投資家に、ビギナーが買うならどちらがいいのかについて取材している。

【イラスト】億り人会社員・橘ハルさん



*  *  *
 ある程度、投資信託について調べたビギナーは「S&P500か全世界株式か」と悩み、立ち止まるものだ。

 S&P500は米国の優良企業500社の株価を指数化したもの。その選別基準は厳しい。

 株価に発行済み株式数を掛けた「時価総額」が一定以上あり、発行済み株式数の50%以上が浮動株、4四半期(=1年)連続で黒字であることが最低条件だ。
 
 一方、全世界株式は、米国だけでなく、中国や日本、イギリスやカナダなど世界中の株式が入っている。

 対象の投資信託(以下、投信)が連動を目指す株価指数は、モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナルの「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCIAC)」が最もポピュラーだ。

 ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん(前出)は言う。

「S&P500と同じように時価総額で指数を算出する日本のTOPIX(東証株価指数)の場合、東証1部に上場していればたとえ赤字でも、不祥事を起こしても、指数として勘定します。

 その点S&P500やMSCI指数はこまめに赤字企業を排除し、市場評価も高い企業を新たに組み入れていることもあり、ここ数十年は右肩上がりの上昇が続いています。

 指数自体が業績不振な企業を排除し、有望企業を積極的に取り込む仕組みになっているんです」

 S&P500と全世界株式の1990年以降のデータから、利益の差を検証してくれたのはニッセイ基礎研究所の水野友理那さん。

「31年分のデータをもとに、任意の時点から10年間、毎月1万円、総額120万円をつみたて投資した場合、それぞれの利益の平均がいくらになるかを算出しました。すると、全世界株式(MSCIAC)の平均175万円に対し、S&P500は198万円でした」

著者プロフィールを見る
中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

中島晶子の記事一覧はこちら
次のページ
リスクはどうなのか?