■親子の会話の深さ

佐藤:私は娘が高校2年生ぐらいのときに講演会をやるようになったんですね。講演会当日に娘の体調が悪くなったときがあったんです。そのとき、「え?何で今日なの?」って思いましたもん(笑)。そのときはじめて働くお母さんはいつもこうなのか、と思いましたね。

安浪:何を優先してやっていくかは常にせめぎ合いますね。働いているお母さんの場合、中学受験をやらせるなら4年生までにある程度は自立して勉強できるように育てておくことは大事かと。それが難しいなら外注に頼ることになりますが、勉強は外注できても、親の愛情は外注できない。勉強という箱を作っても、愛情という中身がないと積みあがっていかないんですね。

佐藤:確かに。でも一概に親の愛情といっても難しいですよね。私は子育てって道楽、と思ってやってきました。結果も見返りもいらない。子育てそのものを思いっきり楽しもうって。

安浪:いいですね! 佐藤さんの「子育てを楽しむ」って自分がやりたいことをやる、っていうことではないですよね。お子さんたちをよく見ている。よく子どもをペットのように可愛がるだけで子どもと表面的な会話しかしない親御さんがいますけれど、どんなに裕福な暮らしをしていても「親は何もわかってくれていない」って子どもは言います。私はいちばん大事な愛情って親子の会話の深さだと思っています。

佐藤:会話の深さは愛情の深さですね。

(構成/AERA with Kids前編集長・江口祐子)

AERA 2021年4月26日号より抜粋

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