NISA(少額投資非課税制度)が始まったのが2014年、つみたてNISAは2018年開始。2024年にはNISA制度そのものの改正がある(C)朝日新聞社
NISA(少額投資非課税制度)が始まったのが2014年、つみたてNISAは2018年開始。2024年にはNISA制度そのものの改正がある(C)朝日新聞社

「つみたてNISA」の対象でも、初心者が避けるべき投資信託は? 「AERA Money2021春号」では、「シンプルでわかりやすい運用がベスト」の観点から“買ってはいけない投資信託”について考察している。

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 結論からいう。「つみたてNISA」に投資初心者が挑戦するなら、シンプルな株式のインデックス型投資信託(以下、投信)を買うのがベスト。

 逆に、買わなくてもいいのは債券型投信だ。外国債券ならまだしも、国内債券はあまり意味がない。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは語る。

「貯金があるなら、わざわざつみたてNISAで国内債券の投信を買うのはナンセンスでしょう。銀行預金も結局、日本国債など債券で運用されているわけですから」
 
 たいして増えないだけならまだしも、利益が少なすぎて信託報酬分、負けてしまう可能性が高い。

 つみたてNISAは利益が非課税になるところが最大のメリットなのに、あえて利益が控えめな債券型を買うのは税金面でももったいない気がする。

「どうしても債券型の投信を買いたければ、せめてつみたてNISAとは別の口座で買ってほしい」と横山さん。

 つみたてNISAの対象投信の中には、投資家の年齢に応じて投資対象の資金配分を変化させる「ターゲットイヤー」といった名称がついたものがある。

 20~30代は株式や新興国の債券などを中心にした攻めの投資、50~60代になったら徐々に債券の比率を増やして安定運用に移行するといった設計の投信だ。
 
 その他にも、投資家が取れるリスク許容度に応じて積極型、安定型などのタイプに分かれた「資産最適化」の投信もある。初心者はターゲットイヤーだ、最適化だといわれても、よくわからない。

 「若いときはS&P500や全世界株式が対象の投信を中心にした株式運用で資産を増やし、リタイアが近づいたら少しずつハイリスクな投資対象を減らして債券などの安定重視の投信に切り替えるのは、理にかなった資産運用の方法です。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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