山崎:打ち上げの後のステラがすがすがしく、自分に自信をもった顔になりました。そこから帰るバスの窓から、ちょっと空を見上げるんですよね。その表情がとても誇りに満ちていて、私、大好きでした。

ウィンクール:山崎さんとお話ができて、感動しています。打ち上げの時、娘さんはどう反応しましたか。手紙は書きましたか。

山崎:書きました。ロケットがきちんと宇宙に到達してから、同僚の宇宙飛行士が家族に渡してくれました。サラとステラは2人でロケットを見に行きましたが、私も娘と思い出を作りたくて、キャンプに行きました。ヒューストンでの訓練も佳境に入っていた時でしたが、宇宙ステーションが空を通過するのを一緒に見て、それを一つの思い出として宇宙に行きました。

ウィンクール:一生の思い出ですね。私も娘のために映画を作りました。撮影中は娘と長く離れていなくてはならず、そういう立場も含めて作りました。

山崎:「今日はママ、家にいて」と娘に泣かれたこともありました。でも不思議と「宇宙に行かないで」と言われたことはなくて、それは大きな励みでしたね。私にとってサラは本当にリアルで、心の面もそうですが、訓練の様子もそうでした。サラはフランス人、私は日本人、つまり自国が宇宙船を持っていない。アウェーな環境で訓練を受けたことは大きいので、そこにもとても共感しました。

■宇宙はまだ男性中心

 サラと宇宙に行くのは、米国人とロシア人。マット・ディロン演じる米国人マイクは当初、サラへの反感を隠さない。「ボーイフレンドはいる? ガールフレンド?」といった台詞もある。

ウィンクール:世の中は往々にして男性中心で回っていて、宇宙飛行士の世界もそうです。男性が前提だから、宇宙船から外に出る時のスーツにはMサイズがないのだそうですね。

山崎:ええ、訓練用スーツにはありますが、宇宙船に搭載されているのはLサイズからのみです。

ウィンクール:NASAの常識が男性中心になっているという問題も、この映画でちょっと示したかったことです。

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