尾崎裕哉(おざき・ひろや)/1989年7月24日、尾崎豊の長男として生まれる。東京都出身。5歳でミュージシャンになることを決意し、2016年、シンガー・ソングライターとしてデビュー(撮影/掛祥葉子)
尾崎裕哉(おざき・ひろや)/1989年7月24日、尾崎豊の長男として生まれる。東京都出身。5歳でミュージシャンになることを決意し、2016年、シンガー・ソングライターとしてデビュー(撮影/掛祥葉子)

 尾崎裕哉と石崎ひゅーいによる2マンライブ「双発機」が、ビルボードのフルオーケストラコンサートとして開催される。裕哉にコンサートのこと、音楽のこと、父・豊のことを聞いた。AERA2021年4月19日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】尾崎豊が高校時代、この場所によく立ち寄ったという場所にある歌碑

*  *  *

——父・尾崎豊の声を受け継ぐ、シンガー・ソングライター尾崎裕哉(31)。石崎ひゅーい(37)とは2013年の尾崎豊を追悼するトリビュートライブで初共演。以来、互いに音楽性を刺激しあい、プライベートでも交流を続けてきた。18年に2人は「双発機」と冠したライブを初開催。今回初めてオーケストラとの共演に挑む。各人の楽曲やデュエット含む全16曲が披露される予定だ。そこにはもちろん尾崎豊の楽曲も入る。

尾崎裕哉(以下、尾崎):尾崎豊の楽曲はライブでも歌いますが、きちんと歌っているのはこのビルボードクラシックスのオーケストラ公演が唯一かもしれません。僕が父の楽曲の「継承と革新」をテーマに活動する中で、父がこれまでやってこなかったスタイルがオーケストラとの共演。壮大なスケール感で尾崎豊を歌うとどうなるか。尾崎豊の新しいスタイルを伝えられたらうれしい。文化と芸術の殿堂の東京文化会館と兵庫県立芸術文化センターにひゅーい君と立てるのが楽しみです。

■音の波に乗る面白さ

——オーケストラコンサートを何度となく経験してきた裕哉だが、オーケストラで歌うことの楽しさは「音の増強」にあると話す。

尾崎:コーラス隊まで入れたフル編成になると、ステージに100人くらいが集まります。演奏にはそれぞれのタイミングがあり、その微妙な差異が音の重複に繋がっていく。僕にとってオーケストラコンサートは一番「生」の音楽を体験している感覚がある。増強された音の中で歌うのは間違いなく心地いい。一方で、バンドだったら自分のノリに合わせてもらえますが、クラシックスは譜面の中で歌わなければならない難しさもあります。

次のページ