ロッテ・角中勝也(33)にも30打数10安打、打率3割3分3厘、0本塁打、同じくロッテ・鳥谷敬(39)には22打数9安打、打率4割9厘、0本塁打と相性が良くない。だが、鳥谷は当時・阪神の主軸で全盛期だった。8年の月日を経て相性の良さは持続できるだろうか。

 ソフトバンクの捕手・高谷裕亮(39)も過去11打数5安打、打率4割5分5厘と田中に相性がいい。チームには日本を代表する甲斐拓也(28)という絶対的な捕手がいるが、勝負どころでの代打起用も考えられる。工藤公康監督(57)の采配が注目される。

 最も対戦が注目される打者は同学年のソフトバンク・柳田悠岐(32)だ。柳田との過去の対戦成績は、19打数5安打、打率2割6分3厘、0本塁打、2打点。

 柳田が対戦を「嫌です」と語ったことについて入団会見で聞かれると、田中は「2013年は(打率)5割打たれている。リップサービスじゃないですか」と言って笑いを誘った。

 田中が大リーグに移籍した後、柳田は球界を代表する強打者に成長した。互いが認め合う実力者の対戦は「令和の名勝負」として語り継がれるだろう。

 田中は対戦したい打者について、こう語っている。

「7年(日本を)離れていて、いない間にたくさんいい打者が出てきていると思う。誰か個人名を挙げるのは分からないが、いい選手がたくさんいる認識。そういった選手との対戦はものすごく楽しみです」

■田中を知らない強打者

 昨季、打率3割5分で首位打者を獲得したオリックス・吉田正尚(27)、セ・リーグとの交流戦で対戦する広島・鈴木誠也(26)、ヤクルト村上宗隆(21)、巨人岡本和真(24)ら「田中を知らない強打者」との対決も見逃せない。

 特に対戦が楽しみなのは西武の「山賊打線」だ。森友哉(25)、山川穂高(29)、外崎修汰(28)、源田壮亮(28)と、田中が大リーグに移籍した14年以降に入団した選手が主力にズラリと並ぶ。また、中村剛也(37)は対戦成績で打率2割7分7厘、6本塁打、10打点。田中と対戦経験のある打者で最も多くの本塁打を放っている。

 相手球団のスコアラーは言う。

「山川、中村、森と本塁打を打てる打者だけでなく、源田、外崎、金子侑司(30)と走れる選手も多い。破壊力と機動力を兼ね備えた打線は本当に厄介。百戦錬磨の田中がどう抑えるか」

(スポーツライター・梅宮昌宗)

AERA 2021年4月19日号より抜粋