水原:本当にそれは偶然です。でも、言われてみると、写真集は女友達と作ったし、会社のスタッフも全員女性なんですよね。私は母子家庭で育っているし、妹がいて、女性と一緒に仕事をするのは楽なのかもしれない。あと、周りはインディペンデントな女性が多い。モニカもそうで、10代の頃から写真家として活躍し、自分で道を切り開いてきた人。モニカと出会って私は世界が広がりました。

■連帯してケンカもする

 みんなからすごく勇気をもらえることが多い。自分としてこのままでいいんだ、強くあっていいんだと思わせてもらったし、連帯してきた感じはあります。ケンカももちろんしますけど、それはお互いが良くなるためですしね。「やらないと気がすまないでしょ、希子は。じゃあ、やっちゃえ!」って、色々背中も押されてきました。むしろ、止める人がいないかも(笑)。

——ロードトリップの経験は、水原さんにさらに「自分らしく生きる」ことを決意させたという。

水原:ロードトリップの後にロスに戻ったとき、自分がどうありたいか、自分は何が好きなのかを大事にしたいと思ったんです。人に媚びを売る必要もない、もっと自分に帰ろう、と。それで、自分の会社を立ち上げ、2018年に独立して、自分がわくわくする気持ち、わき上がってくる気持ちをコアに仕事をやってきました。

 とはいえ、立ち上げたばかりのときは不安もあって、くる仕事、全部断らずにやっていたんです。「この仕事、できるかな」と思っても、お仕事をいただけるだけでありがたくて。それは全部、自分の糧になったので本当に良かったのですが、今は少し気持ちが変わってきています。どんな仕事をしても、私が発信するものは、見た方にポジティブに受け取ってもらえるようにしたいと思うようになりました。たとえ大胆なことをしても、「こんな大胆なことしてもいいんだ」と、勇気を持ってもらいたい。

 だから私は、これから少し仕事を選びつつ、断る勇気をもっていけたらな、と。自分も素直でいられて、かつ、見る方に希望を持ってもらえ、背中を押してあげられるような仕事をしていきたいと思っています。

(編集部・大川恵実)

AERA 2021年4月19日号