リバース・メンタリングの効用は、知識を得るだけでない。

「異なる属性や価値観の人と学び合い、感動し、成長につなげられるのがリバース・メンタリングの目標ではないでしょうか。だから、他世代からだけでなく、性差や、子育て経験の有無、部署や職種を超えて、分かり合えることがある」

 吉田さんによると、イギリスのある地方警察では、黒人やアジア人、エスニックマイノリティーをバックグラウンドに持つ警察官がメンターとなり、人種差別や多様性について学ぶプログラムがある。P&G日本法人でも、子どもを持たない役員のメンターを、子育て経験のある社員が務めるケースがあった。

「わかりやすい成果はすぐに出ないかもしれません。でも、気づきの選択肢を社員が豊富に持つことはイノベーションの一歩になります」(吉田さん)

 若者との対話の積み重ねが、会社を変える一歩になる。(ライター・井上有紀子)

AERA 2021年4月12日号より抜粋