玉置さんは、占いに「不幸」を求めてやってくる人はいないと断言する。「幸せになりたい」「よくなりたい」、仕事なら、「仕事運を上げたい」と考えている。

「希望が提示されるはずだと信じているから、人は占いをする。占い後のレビューを見ると、『占ってよかった』という人がほとんど。カウンセリングだったりアドバイスだったり、占いが何かのヒントになっているということだと思います」

 運を求めて行動している人々の動きと満足を、「意味がない」「非科学的」と切り捨てることは早計のようだ。

 実はラッキーアイテムに関しては、心理的効果があるというドイツ・ケルン大学の論文がある。「このゴルフボールはラッキーボールで、ナイスショットが打てる」と言われてゴルフをした群は、そう言われなかった群と比べて、同じボールを同じ条件で使っても、スコアがよかったという。

 つまり、「鰯の頭も信心から」ということだ。だが、いいことがあるという思い込みで結果が得られるなら、取り入れない手はない。運は再現できるのではないか。玉置さんはそう考え、昨年1月、「開運を科学する。開運研究所」を設立した。脳、心、身体の機能を科学的に研究し、loT/AI/AR/VRなどの最新技術を使って開運を実践するのが目的だ。

「ツキはほしいけど、占いにはちょっと抵抗がある、という人にも、科学的に検証された結果なら響くのではと思います。信じることもうまく使えば悪くないと思いますよ」

 同研究所では、国内外の開運に関する論文を、多数検証しているという。

 ツキを呼び込むメカニズムを解明できる日は、少しずつ近づいてきている。(ライター・羽根田真智)

AERA 2021年4月12日号