占いはいつの時代も「自己肯定感を認めるもの」と分析するのは、データサイエンティストの松本健太郎さんだ。

「『占われたいこと』はつまり『その人が求めていること』です。僕自身は、完全なエンターテインメントだと考えています」

 そんな中、占いの新しいヒットコンテンツが生まれ、新しい「使い方」が出てきた。

 フジテレビの「突然ですが占ってもいいですか?」は、2020年1月にパイロット版の特別番組が放送されて好評を博し、4月にはレギュラー放送を開始した。一時期、占いやスピリチュアルを扱った番組は高視聴率を弾き出す鉄板番組だった。05年から09年に放送された江原啓之の「オーラの泉」、04年から08年に放送された細木数子の「ズバリ言うわよ!」は覚えている人も多いだろう。その後しばらく「占い番組」として話題になったものはなかった。

■希望者は19万人超

 開始当初は、赤羽の飲み屋などを占い師が訪れ、居合わせた客を占うという企画だったが、コロナ禍で、スタジオで芸能人を、リモートで一般人を占うという構成が増えている。

 占い師が、会ったばかりの見ず知らずの他人の出身地や出身大学、過去その人に起きた出来事を言い当てていく様子(番組ではこれを「ロックオン」と表現する)が話題を呼んだ。番組では一般から「占ってほしい人」を募ってきたが、なんと応募数は19万人を超えた。

 よく番組を見る30代女性は、一般人が占われるパートが好きだ。たとえば、ある回ではこんなシーンが放映された。

「僕が占った中ではすごくお母さん思い、って出てますよ。お母さんに認められたい気持ちが強いはず。家出たいとか言ってるけど、本心ではない。一緒にずっといたいし、お母さんに幸せになってもらいたいという気持ちが強いはずですよ」

 占い師の木下レオンが言うと、高1の次女と母は涙をこぼした。

「あなたは家族には口が悪くなったり強い自分が出てしまう。特にお子さんに対するしつけが非常にきついことがある。言わなくていい一言が多すぎる」「次女はあなたのことが好きすぎて、あなたの言うことに傷ついてる。振り向いてほしいからこそお母さんに言ってる。彼女は人生を踏み外しやすい時期に入っている。わだかまりを取っておいたほうがいい」

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肯定の瞬間なんてない…