■4~5月頃基準を示す

 厚生労働省血液対策課の担当者によると、この見解をもとに再度検討し、4~5月頃には基準を示す予定だという。

 2回接種するため、接種スケジュールによっては、制限期間が実質7~8週続くこともある。

 ワクチンの接種者の献血制限期間について審議する中で、有識者からは、「かなり大規模な集団接種になる可能性があり、血液製剤の供給に影響を及ぼす可能性は大いにあるのではないかと危惧する」という意見も出た。インフルエンザのように毎年接種が必要となれば、接種時期によっては献血者不足をきたす恐れがあるとの指摘もあった。

 日赤のデータによると輸血を受ける人の85%は50歳以上。少子高齢化が進む中、将来の献血を支える若い世代の献血協力が必須だが、10~30代の献血者数は2010年の約275万人から19年には約180万人と、この10年で3分の2以下に激減。このままでは今後、血液の安定供給に支障をきたす恐れもある。

 冒頭で紹介した太田さんは、これまで「妊婦の夫は献血を」と呼び掛けてきたという。

「妊娠中の妻に夫ができることは少ないけど、献血は必ず誰かの役に立つことができる。これから一般の方にも新型コロナのワクチン接種が始まるので、今度は『ワクチン接種前に献血を』という意識が広まるといい」

 普段献血に行かない人や献血デビューしていない人も献血を意識するチャンスになるかもしれない。ただ、血液は長期保存できず、献血者が殺到するのも安定供給に支障が出る。混雑と集中を避けるためにも事前予約を。(編集部・深澤友紀)

AERA 2021年4月12日号