日本でブリティッシュスクールの校長を務めた経験もあるファーリー氏によれば、日本の学校との最大の違いは、こうした教育カリキュラムにあるという。

「イングランドの教育はプロセスに重点を置いています。たとえば科学では、情報やデータを提示し、結論を導く過程を見る。もちろん日本でも行われているとは思いますが、英国の伝統では、知識そのものよりも、過程がより重要なのです」

■英語力より情熱を重視

 同時にハロウ校では、すべての生徒をベストな状態に持っていくことにも力を注ぐ。最良の大学に進学することももちろん大切だが、その後社会に貢献し、健康的な人間関係を築くために必要なこと、世界に影響を与えるリーダーシップとそれに伴う責任も教え育てるのだという。

 このほか、山々に囲まれた安比ならではのスキーやゴルフといったスポーツや、音楽や演劇などのクリエイティビティー、さらには日本のサービス文化や、生け花などの伝統文化の教育にも力を注ぐという充実ぶりだ。

 授業サイズは最大14~18人程度、生徒8人に対して教師1人と手厚い。各寮75人程度がともに生活し、上級生は個室、下級生は1部屋に最大4人。寮費や食費を含む学費は未定だが「スイスの一般的な寄宿学校レベル」を想定しているとのこと。国内外の保護者から高い関心が寄せられており、生徒は日本人が最も多く、次いで台湾やシンガポールを含む中華圏、英国など英語を第1言語とする国々から集まると考えられている。

 初年度はYear7~10(小6~中3)の4学年(11~14歳)、200人程度からスタート予定で、この秋には申し込みが始まる。最も気になるのは、入学にはどの程度の英語力や学力が求められるのかという点だろう。

 入学試験は知識を問うものではなく、非言語の認知力などさまざまな能力を測る、知能テストのような複合的なオンラインテスト。あわせて、年齢に応じたトピックが与えられて、英語のライティングで思考力や個性を見る。この二つをパスすると、英語での個別面接に進むという。ファーリー氏は言う。

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