これまでのハロウインターナショナルスクール(以下、分校)はみな大都市にある。東京での開校は考えなかったのだろうか。

「当初は東京も真剣に検討していましたが、最終的に、安比という最高のロケーションでのフルボーディングがベストだということ、そして英国のハロウ校の教育と理念を受け継ぐのにふさわしい環境だと思ったからです」(ファーリー氏)

 フルボーディングのみの学校も、分校では日本が初となる。

「ハロウが重要視している生徒のサポートシステム『パーソナル・ケア』はデイスクール(通学制)よりフルボーディングによってさらに強化されます。ハウス(寮)では、ハウスマスター(寮監)らと放課後はチェロを弾いたりディベートをしたり、夜は一緒に食事を取って、1週間7日間をともに過ごします。そうすることで濃密な関係性が生まれ、生徒一人ひとりを深く知ることができるため、秀でた分野では背中を押し、つまずいたときはすぐにフォローするといった、学術面でも人格面でも、その子にとってベストな対応ができるのです」(同)

■日本人向けの手助けを

 ハロウの教育は、基本的に、授業であるコアカリキュラムと、豊富な課外活動コーカリキュラム、知識を深めるためのスーパーカリキュラムの三つから成る。安比校のカリキュラムも英国本校にならって組み立てられているが、特に重視されているのが語学だ。英語のみならず、日本人なら日本語も必修。希望者は中国語も学べる。また、サイエンスやデジタル・テクノロジーなどのSTEMや、パブリックスピーキング、ディベートなどに特化したスーパーカリキュラムを展開する予定だという。

「日本人が世界のトップ大学への入学を果たすために最も重要なものが、人前で話すスキルです。日本人の生徒はみなすばらしく優秀です。幅広い知識や技術を持ち、試験では最高の成績を残し、書類上のクオリティーは非常に高い。ところが面接となると、ケンブリッジやMIT、スタンフォードが求めている生徒像とずれてしまう。言語的な問題ではなく、文化的な影響で、謙虚に、質問を待ってしまうからです。450年の経験を持つ我が校だからこそ、日本人が世界で成功するための手助けができると考えています」(同)

次のページ