「食費は『健康への投資』と考え、無理に削らないこと。医療費がその分かかったら本末転倒ですから。ただし、食材1週間分をまとめ買いして作り置きするなどなるべく自炊を心がけ、出費の大きい外食は月末に予算が余ったときのみ、などの工夫は必要です」

 どうしても大きく節約せざるをえないのが、交際費・娯楽費。予算を「夫婦二人で月1万円」などと決めてそれを厳守。あるいは1回の出費が大きい飲み会は「月に1度」と決めるなども手だと谷川さんは言う。

「いずれにしても、まずは現状の生活費を計算することから始めましょう。8万円、12万円を超える金額がいくらなのかを把握することで、『内訳ごとに節約すべき目安』が見えてきます」

 地方移住は、生活費削減にも有効だ。地域考察WEBメディア「KAYAKURA」代表の伊藤将人さん(25)は言う。

「地方は物価が安い上、近隣との関係によっては野菜をお裾分けしてもらえるなど10年、20年単位で考えると日々の出費減は大きい。例えば固定資産税なども東京都と地方では2倍近く差があるケースもあり、無視できません」

 ただし、寒い地域では暖房などの光熱費が、自家用車が必須の地域では車の維持費が余計にかかることには注意が必要だ。

「自家用車がなくても暮らせる人口およそ30万人以上の都市、できれば暖かい地域がおすすめです。かつ農地が入手でき自給自足により近い生活もできるようなら、さらに生活費を抑えられます」(伊藤さん)

■必要資産の4%ルール

 そしてステップ3。FIREするのに「あとどれくらい必要か」を確認してみよう。

 前出の4%ルールなら、単身の人が生活費を8万円に抑えられれば、FIRE実現に必要な資産は2400万円となる。この資産を作り出す上でも、やはりカギとなるのは地方移住だ。

 たとえば東京の中古マンションの平均額は5700万円ほど。一方で長野市の平均額は約1610万円。単純計算で、住み替えるだけで約4千万円の差益が出る。前出の超格安物件を選べば、得られる資金はさらに大きくなる。たとえば時価4千万円の家でローンが2千万円残っていたとしても、超格安物件に住み替えれば2千万円近い資金が手元に残り、FIREへの道が一気に開ける。

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