■約10人が被害訴えた

 王室は、「記事に書かれている内容について調査を行う。王室は、何年も前から職場における尊厳に関する方針を定めており、職場でのいじめやハラスメントを容認していません」と発表した。メーガンさん側は、「インタビュー放送前に完全に虚偽の話を広めるためにタイムズ紙が使われた」と反発した。

 王室では退職者も含めて、10人ほどがパワハラ被害を名乗り出た。キーパーソンの一人がサマンサ・コーエンさんだ。女王の個人秘書として働き勲章を授与されたほど有能だった。女王は彼女ならと見込んでメーガンさん付きにした。しかし、メーガンさんはコーテシー(女性がするお辞儀の一種)も教えてもらっていないし、イギリス国歌もグーグルで調べるありさまだったと明かし、コーエンさんの努力は認識されていない。コーエンさんは1年ほどで王室から辞職した。

 メーガンさんの元スタッフらは「サセックス・サバイバーズ(サセックス公爵夫妻のところで働いたが生き残った)」と名乗り、状況をつぶさに話すという。パワハラの調査結果を王室が公にすれば、メーガンさんは反論し、激しい応酬は裁判に持ち込まれるだろうか。

「ウォールストリート・ジャーナル」によると、CBSはオプラ・ウィンフリーさんの制作会社に700万~900万ドルを支払ったという。今回のインタビュー番組は、大金を手に入れ、70カ国以上に名前と顔が売れたオプラ・ウィンフリーさんの一人勝ちなのかもしれない。(ジャーナリスト・多賀幹子)

AERA 2021年3月22日号

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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