こちらはブルーやグレーを交ぜた色調。子どもの作りたいものとのズレがあり見直されたが、20年10月に「すみっコぐらし」とのコラボ版を発売すると、男女問わず好評で、売り上げは想定の1.5倍という結果になった。

「ねじハピ」成功の背景には、女の子にいろいろなチャレンジをさせたいという親の思いがあるという。女の子自身の興味ともうまく合致した。

「日曜大工は父親のイメージがあって今までは男の子のおもちゃでしたが、根本はものを作る遊びなので男女は関係ない。その感覚を親たちも持っていた。今後も遊びの広がりをつくり、子どもたちの視野を広げることができたらと思っています」

 ピープルは社員50人のうち9割が女性で、子育て中の人も多い。社内でのジェンダーギャップは感じないという。しかも挑戦が奨励される雰囲気があり、上原さんもいくつもの失敗を経験。そんな職場環境も、新しい感覚の玩具を生み出している。

■宇宙飛行士のバービー

 男の子のイメージが強かったミニカーにも変化が起きている。タカラトミーはハローキティ、シナモロールなどとコラボした「ドリームトミカ サンリオキャラクターズコレクション」を昨年発売。好評で第2弾を今年発売した。年齢、性別を問わず、多くの人に興味をもってもらおうと企画されたシリーズだ。

 性別を区別しないジェンダーニュートラルの動きはアメリカで加速している。玩具大手のハズブロは先月、長年親しまれてきた「ミスター・ポテトヘッド」の人形のブランド名から「ミスター」を削除すると発表。同性同士の両親を持つ子もいる今、「すべての人がポテトヘッドの世界で歓迎されていると感じられるように」という理由だ。

 ハズブロのライバルでもあるマテルは、着せ替え人形のバービーで多様性を表現してきた。消防士や宇宙飛行士のバービー、髪の長いケンの人形もある。

 子どもたちが手にする玩具こそ、バイアスを考えて選びたい。(ライター・仲宇佐ゆり)

AERA 2021年3月15日号