他人の気持ちに敏感、騒がしいところが苦手、など人一倍敏感な”繊細っ子“はHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)とも言われます。そんな子にとって、刺激の強い学校生活はしんどいと感じることがあります。サポートする側の親にとっても、毎朝のように登校を渋るわが子に頭を悩ませ、心身ともに疲弊しているケースもあります。どうすれば子どもも親も、もっとラクに過ごせるようになるのでしょうか? 「AERA with Kids春号」では、日本では数少ないHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)・HSCの臨床医である長沼睦雄先生に、読者からの悩みに答えていただきました。

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「他人に共感しすぎて集団生活が耐えがたい」「人が多く集まる騒がしい場所が苦手」「においに敏感で給食をあまり食べない」……。このように感覚が人一倍敏感で感受性豊か、かつ傷つきやすく繊細な子はHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)と呼ばれます。アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が定義しました。

 HSCは病気や障害ではなく、生まれ持った気質。治す必要はないと長沼先生は言います。とはいえ、日々の生活に悩みはつきもの。以下の読者からの悩みにアドバイスをいただきました。

【悩み相談1】
学校で他の子が注意されているのを見て、自分ごとのようにつらくなってしまうようです。「先生に怒られたらどうしよう」と不安になっています。騒がしいのも苦手で、「学校に行きたくない」と言い出しました。この先も言い続けた場合、どうすればいいのでしょうか?(小2女子の母)

【先生のアドバイス】
 HSCにとって、「みんなで同じことを、同じペースで一斉に」やる学校生活は過酷な環境です。親の心を読んで自分の本当の気持ちを抑え込みやすいHSCの子が、自分から「学校に行きたくない」と言い出すのは、よほどつらいのでしょう。

 親は行きたくない理由を聞いたり、「学校に行かせなくては」と焦ったりするかもしれませんが、まずは「つらかったんだね」と子どもの気持ちを受け入れることが大切です。家庭で本人のペースでゆっくりと過ごさせ、一緒に遊びながら話を聞いてあげましょう。そのうえで「今は無理しなくていいんだよ。必ず元気になれるときがくるよ」と声をかけると、お子さんも落ち着いて本音を話し出すでしょう。

 今は、放課後などの時間を使って発達の支援をする「放課後等デイサービス」も増えていますし、習い事もいろいろとあります。学校以外に安心して過ごせる居場所を探してみてください。

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高橋亜矢子
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