それだけに公正取引委員会が目を光らせており、加盟店が支払う手数料やデータの利活用方法などについて3年間の報告を義務付けた。利用者のデータを野放図に広告などに使い、利益を生み出すことは許さないという姿勢だ。

 前出の中島准教授も「検索やショッピング、決済情報の履歴など、ZHDの下には多種多様なデータが集まることは間違いなく、機微性の高い情報への配慮が一層求められる。利用者の意思がどれだけ反映されているのかに注意し、企業としては透明性の確保、厳格な管理が求められる」と警鐘を鳴らす。

 だが、これらのデータは両社にとってまさに「飯のタネ」。統合の利点を十全に生かせなければ、国に足かせをはめられただけでかえってマイナスだったということにもなりかねないジレンマも抱える。(ジャーナリスト・出野直玲)

AERA 2021年3月15日号より抜粋