折坂悠太の「監察医 朝顔」主題歌 ヒューマンな歌の包容力が全ての人に寄り添う (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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折坂悠太の「監察医 朝顔」主題歌 ヒューマンな歌の包容力が全ての人に寄り添う

連載「岡村詩野の音楽日和」

岡村詩野AERA
折坂悠太(写真提供:アミューズ)

折坂悠太(写真提供:アミューズ)

ミニ・アルバム「朝顔」のジャケット(写真提供:アミューズ)

ミニ・アルバム「朝顔」のジャケット(写真提供:アミューズ)

 ここに願う、願う、願う、君が朝を愛するように――。

 繰り返し語りかけるこのサビに聞き覚えのある人も多いだろう。2クール連続で放映中のフジテレビ月9ドラマ「監察医 朝顔」の主題歌「朝顔」。2019年の第1シリーズから引き続きオンエアされているこの曲は、初回の放送時から、歌のメッセージが多くの視聴者の心の扉を叩いてきた。「歌っているのは誰?」。初めてその歌声に触れた人たちからはそんな声も相次いだ。

【写真】ミニ・アルバム「朝顔」のジャケット

 歌っているのは折坂悠太。圧倒的な歌唱力と表現力を持つ現在31歳のシンガー・ソングライターだ。13年に活動を開始。18年に発表したアルバム「平成」が翌年CDショップ大賞を受賞するなど高い評価を受け、多くの先輩アーティストたちからも一目置かれるようになった。そんな折坂が久々にまとまった作品として5曲入りミニ・アルバム「朝顔」をリリース。もちろん、「朝顔」も初CD化として収録される。

 折坂悠太の歌は優しくしなやかだが、一方で強くタフな面もある。それだけではない。2010年代は世界規模で“個”の力が試されたディケイドだった。実際、音楽の現場でも多くのシンガー・ソングライターが頭角を現してきたが、中でも折坂は“個”であるたくましさと、他者と連帯することの素晴らしさを感じさせる表現者だと言える。

 幼少期をロシアやイランで過ごしたという折坂の音楽は、様々な町の景色やそこに生きる人びとの姿を内包している。彼の評価を決定づけたアルバム「平成」では、サウンド面でも大きな挑戦をしていて、ブラジル音楽やジャズの要素を積極的に採り入れている。だが、新しいミニ・アルバム「朝顔」は、少し趣が違う1枚になっている。あくまで歌とメロディーを主軸にしていて、先進的なアレンジや音楽的な冒険からは少し距離を置いているように思えるのだ。

 逆に言えば、ヨーデルから日本民謡まで世界中のフォークロア音楽の要素を感じさせる、独自のボーカルでしっかりと聴かせる作品ということでもある。喉に大きく空気を含ませながら振動させるような折坂の発声は、いわゆるロックやポップスの一般的なシンガー・ソングライターとは全く違う。かと言って、民謡の唱法スキルを身につけた筋金入りというわけでもない。けれど、様々なスタイルを折衷した上で自分の表現を手にした今の折坂は、声と言葉だけで大きな説得力を持たせることができるようになった。今回リリースされるミニ・アルバム「朝顔」でも、例えば沖縄県八重山諸島の竹富島に伝わる古謡である「安里屋ユンタ」を、自分なりの解釈で見事に歌い上げている。


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