オンライン学校説明会では、生徒が活躍。秋に行ったオンライン学園祭のサイトで学校の魅力を伝えたり、受験生の質問に答えたりして交流を図った。大井正智校長が言う。

「対面だと450人くらいが限界ですが、オンラインでは2500人以上が登録してくれた。コロナが終息しても続けていきたいですね」

 閉塞感ただようコロナ禍では、学校に精神的なバックボーンを求める保護者も増え、キリスト教系の学校も健闘した。東京都調布市の晃華学園は志願者が昨年比118%に。同校は5年前から生徒全員にiPadを導入しており、休校要請が出されてから様々な学習コンテンツを配信し授業を開始。生徒のメンタルを支えるため、ホームページや動画を利用して、教員のメッセージを伝えた。キリスト教に基づく教えを大切にし、5月の聖母月にはキャンパスにある「ルルドの泉」から、教員が生徒に向けて動画を配信。

「学園が第2の家庭であるということを生徒に感じてもらえたと思います」(富井尚子教諭)

 例年面接を課していた学校も、1月の緊急事態宣言を受け、都内では学習院女子、女子学院、雙葉、神奈川県ではフェリス女学院など伝統のある女子校が面接を断念。桜蔭は面接を記述式試験に変更した。コロナに翻弄されながらも的確な対応を見せた学校が多かった。

■授業に動画アニメ採用

 難関大に強い公立校にも注目したい。

 桜修館中教は、昨年の緊急事態宣言前からITの学習コンテンツを配信。並行して教員がオンライン授業の研修を行い、GW明けからホームルームと授業を双方向で開始した。
「試行錯誤を繰り返しながら、いろんな試みに取り組んでいます」

 鳥屋尾(とやお)史郎校長はそう話す。

 YouTubeで同校の授業を流したり、学校説明会を複数回開いて学校の様子を発信。保護者との個別相談会もオンラインで行い、学校見学ができない不安の軽減につなげた。

 同じく公立の相模原中教では、一部授業に動画アニメを採用。生徒からの質問にアニメでわかりやすく回答するなど、キャッチーな工夫が生徒から高評価を得た。藤原敬子校長は「オンライン授業は教員にとって、初めての経験」と話し、教員向けの研修をしていたとも明かした。

 オンラインを存分に活用することとなったコロナ禍は、いわば学校と生徒の「工夫」の1年。並々ならぬ努力を見せた生徒と教師が「これから」を変える。(教育ライター・柿崎明子)

※AERA 2021年3月8日号より抜粋