占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
※写真はイメージ(gettyimages)
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:なりたい大人になれなかった自分を受け入れるためのアドバイスをお願いしたいです。20代で最愛の人と結婚、職業は童話作家と夢を見ていた少女の頃の私。現実は、男なんかこりごりと結婚は諦め、童話作家の夢も叶わず。それで資格をとり、うんと年下の先輩たちの下で保育園勤務。完全に浮いて卑屈さばかり感じます。(女性/保育士/38歳/さそり座)

A:さそり座は自己評価が結構厳しい人たちなんです。そんなに卑下しなくてもと思うけれど、幸せは自己評価だし、周りから「いや、あなたはこういうところで恵まれているよ」と諭されても、余計に自分がみじめになってしまうことってありますよね。

 ご相談の内容を読んで、「理想という呪縛」について考えさせられました。

 理想って、全くかなわない状態だったらあきらめられるんだけど、一歩手前まで行っちゃった場合は一番きつい。言葉もかわさずに終わった初恋よりも、理想の人と2回デートしたけどお付き合いできなかった、という初恋のほうが地獄なんですよね。生涯引きずる傷になったりもする。片足を突っ込んでしまったからこそつらい、ってある気がします。こういう経験をした人は悪夢を見ることも多いです。例えば夢の中で理想の旅行先に行くんだけど、着陸する寸前にサイレンが鳴り出すとか、実はチケットが取れてなかったとか、そういう夢。

 どうしたら理想の呪縛から離れられるか。ちょっとずつでも新しい理想を作っていくために、階段を下りていく必要があります。そのためには「型」をやめる練習をしなければいけないと思うんです。

 例えば、まだ旅行はしにくい状況だけど、旅行できるときがきたら、写真を撮らない旅をしてみてください。

 理想に縛られすぎてしまう人は、どこか「型」に対してのまじめさを持っています。旅に行ったら、ご飯は豪華なものが並んで、景色もきれいで、電車も快適で、それを全部写真に収めないといけないみたいな。全部が80点取れないと満足してはいけない、そういう呪縛がありませんか?

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しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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