秋篠宮さまは昨年11月、55歳の誕生日にあたっての会見で「結婚を認める」として、「憲法にも結婚は両性の合意のみに基づいてというのがあります。本人たちが本当にそういう気持ちであれば、親としてはそれを尊重するべきものだというふうに考えています」と述べた。

 だからと言ってすんなり進むわけにはいかないことは眞子さまも十分承知のはずで、決めるのは眞子さま。そう思うので陛下の会見に戻る。

「コロナ禍の天皇や皇室の在り方、今後のご活動の方針について、どのようにお考えでしょうか」という問いへの答えを、簡単にまとめるとこうなる。

 まず述べたのが、日本の歴史。聖武天皇ほか歴代天皇の厄災への対応を語り、そこから国民に寄り添うということを今日的に定義し直した。コロナ禍に話を進め、犠牲者を悼み、医療関係者らをねぎらった。その上で、将来への希望を語り、国民を励まし、最後は昨年11月から本格化させた「オンラインでの国民との交流」の話。その利点をあげ、今後も引き続き活用したい旨を述べ、終える。過不足ない、実に真面目な回答だった。

■「皇后」ではなく「雅子」

 今年元日、陛下は新年一般参賀に代えて、国民へのビデオメッセージを公表した。雅子さまとお二人で並び、主にコロナ禍についての思いを述べた。そのときの内容と、今回の内容。大きく変わってはいない。今回は前回には触れなかった自殺者の増加についての心配を語り、ワクチン接種が始まったという最新ニュースも加えた。

 そのことで、「今しばらく、国民の皆さんが痛みを分かち合い、協力し合いながら、コロナ禍を忍耐強く乗り越える先に、明るい将来が開けることを心待ちにしております」という言葉に説得力が増した。そして「現地で多くの方々と同じ体験を共有し、その土地、その土地の雰囲気を肌で感じるなど、実際の訪問でなければ成し得ない部分はあるものの、感染が収束しない現状では、オンラインは有効な手段と考えられます」という言葉は、現状にあって偽らざる心境に違いないとも思う。

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