「最近投資物件を購入した方に、フライト数が激減し年収が2割減になったというLCC(格安航空会社)のパイロットがいました。同僚が次々不動産投資を始め、興味を持ったそうです。不動産会社からすると良いお客さんです」(神農さん)

■第2第3の「馬車」ある

 なぜ今、不動産投資なのか。株と不動産に詳しいブローカーの西村明彦さんは「株式より不動産に興味を持つ人が増えた。配当利回りが1.5~2%の株より、4~6%の不動産の方が魅力ですし、インフレになれば含み益も期待でき、夢が見られる世界。またDX(デジタル化)の影響も大きい」と語る。

 昨年末から東京都豊島区で稼働中だったホテルを廃業させ投資用ワンルームを建設する案件に関わる。投資家は、クラウドファンディングで募るという。

「クラウドファンディングなら10万円からでも現物不動産に小口投資できます。販売されている不動産はトリプルB、つまり投資適格ギリギリが大半ですが、利回りは高めなので短期でマネーが集まっています。不動産会社にもIT人材が必要な時代となり、コロナやDXが新しい流れを生んでいます」と語る。

 だが、不動産投資の利回りは予定通りの入居率が保たれてこそだ。冒頭の名古屋だけでなく、東京でもオンライン授業の影響で大学生や留学生が激減し、入居率6割というワンルームも出ている。今後不動産相場が下落すれば投資した時点の価値を下回ってしまい、数千万円の借金を抱えたまま売るに売れないという事態も考えられる。

 さらに、投資する側の知識不足につけ込む悪質な販売会社もあり、自己資金をリフォームローンで賄うよう指南する不正も実際に起きている。

「かぼちゃの馬車がやり過ぎただけで、第2、第3の馬車系会社はある」という声もある。(ライター・吉松こころ)

AERA 2021年3月1日号