各社の対応はどうなっているのか。JR東は言う。

災害時にはお客さまの命を守ることを最優先に、地域の足、生活インフラとして少しでも早い復旧を目指す」

 JR東海は、阪神・淡路大震災(1995年)や新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災などでの他社線の被災状況等を踏まえ、東海道新幹線の橋脚の必要な箇所の耐震補強を完了、高架橋柱および盛土の耐震補強も一部を除き完了したという。

「設備面だけでなく、大規模地震の発生を想定した地震防災訓練を毎年実施するほか、在来線では津波からの避難誘導訓練、新幹線では駅間で長時間停車した列車からの乗客を救援する訓練など、さまざまな状況を想定した実践的訓練を実施しています」(JR東海)

 JR西日本は、東日本大震災を教訓に(1)地震に対する構造物の補強・改良、(2)津波対策、という二つの取り組みを行う。また、大阪北部地震(18年)を教訓に、駅や車両への簡易トイレを装備するなどしたほか、スマホのアプリを活用した運転再開手続きの迅速化などに取り組んでいるという。

 だが、鉄道はいま、かつてない苦境にある。新型コロナウイルスショックだ。外出自粛が続き、海外からの訪日客は激減、駅ビルや商業施設等の店舗閉鎖も鉄道会社を苦しめている。

 1月下旬、JR東は21年3月期連結業績予想が4500億円の赤字になると発表、1987年の民営化以降初の赤字となる見込みだ。JR東海とJR西も、民営化以降で最大の赤字を予想している。

■窮状を打開しうる貨物輸送という選択肢

 もともと厳しい経営が続いていたJR北海道とJR四国も、それぞれ149億円と53億円と、今年度の中間決算は両者、過去最大の赤字だ。JR九州も、今年3月期の連結最終損益が284億円と、2016年に株式上場して以降初の赤字となる見通しを発表した。

 あるJR幹部はこう漏らした。

「会社発足来の極めて厳しい状況だ」

 打開策はあるのか。石破さんは、鉄道は「貨物で稼ごう」と提案する。

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