夫:尾崎章彦[36]


ときわ会常磐病院 乳腺外科医

おざき・あきひこ◆1985年、福岡県生まれ。2010年に東京大学医学部を卒業。東日本大震災が起こり、福島県内の状況が気になって移住。外科医の傍ら、震災の健康影響を調査している。現在は福島県いわき市で勤務中。20年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科を修了

 付き合った当初から、遠距離恋愛でした。今は毎週戻っていますが、当時会えるのは月に1度ほど。福島県南相馬市にいた頃は、車で片道4時間かけて東京まで運転していました。「今月は雪で会えないね」なんてこともありましたが、毎日電話していました。

 福島で頑張ろうと決意した頃、瑶子さんと出会いました。瑶子さんも東京でやりたい仕事がある。離れていて寂しいこともありますが、これもいい形ではないかと思います。

 週末、瑶子さんとゆっくり話すとき、子どもの成長する姿を見たとき、幸せだなあと思います。

 そうしていたら、患者さんへの関わり方が柔軟になっていきました。「配偶者が病気になったら」「子育てしながら治療したら」と患者さんの生活がイメージできるようになったからです。頭では理解していた患者さんの気持ちがわかるようになりました。自然と「大丈夫ですよ」「不安ですよね」と、最初の一言を優しくかけられるようになりました。

(構成・井上有紀子)

AERA 2021年2月22日号